「12・6戦争やだね長野大集会」へのメッセージ

  今、日本の戦争について原稿を書いています。日本の過ったアジア・太平洋戦争で国策として満州・蒙古へ送られた人々の敗戦時の苦労、沖縄戦の集団自決の資料を読んでいると当時の政治家・高級将校たちに激しい怒りを感じます。安倍政権の人たちはこうした戦争の悲劇をどのくらい知っているでしょうか。

 国益、軍隊は民間人を犠牲にします。

 私はアメリカの国益のためのベトナム戦争で大勢のベトナム民間人の死傷者を目撃しました。集団的自衛権行使は日米軍事同盟の強化です。アメリカは湾岸戦争、イラク、アフガニスタンで戦争をしイスラム国も爆撃しました。

 日本の若者を殺したり殺されたりする戦場へ送ってはいけません。日米両政府は国益のために沖縄人の犠牲を無視して辺野古に新基地を建設しようとしています。

 皆の力を結集して安倍政府と闘いましょう。

石川文洋(報道カメラマン、諏訪市在住)


 いま、森田草平の日記を読んでいる。

漱石の弟子で、「平塚らいてう」と心中未遂事件後、「煤煙」を書いてやがて反逆精神をつらぬいた作家。森田は東京空襲から逃れて、あの山本慈昭氏の長岳寺の離れに疎開して、「細川ガラシャ夫人」等の原稿に没頭しつつ、社会改革の運動も続けそこで没した。

 東京から逃げて来る前、昭和二十年四月にすでに「敗戦」という言葉を吐いている。そして、国民自身が決めたわけでもない非民主的な経過で起こした戦争に怒っている。

 下伊那の阿智郷開拓団が出発したのは、森田が「敗戦」という言葉を使っていた半月後だ。そして団は旧満州でのあの悲劇。この理不尽な真実。

 権力者は、不都合な真実を隠す。メディァを支配、教育を支配、そして歴史の真実を覆い隠す。それにしたがう人々に金をばらまくーーいまは、戦前と同じそんな方向に進んでいる。

 殺人兵器を作る軍需産業が活気づいていることは、殆ど報じられない。

その先に待っているのは、権力者は安全なところにいて、とくに若者が他国民を殺し、殺され合う戦争だ。

 弱腰だと武力で他国にやられる? 待ってくれよ、そういう状況を作りださないために人間には口がある。言葉がある。外交がある。

 だが、幸いなことに、現代の民衆はよその国との文化的人的交流、経済的交流がかなり友好的に盛り上がっていることだ。怖いことは、権力者がそれを無視して進むことである。

和田 登(映画「望郷の鐘」原作・児童文学作家、長野市在住)


 私は佐久市(旧望月町)出身で、東京の出版社で編集者をしています。今年、業界の仲間とともに立ち上げた「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」の一員として、この度メッセージを寄せさせていただくことになりました。

この数年、「嫌韓嫌中」といわれるような、隣国をあらかさまに蔑視したり敵意を煽ったりする本が書店の棚で目立つようになってきました。日本の負の歴史を否定し、それらを「反日」の国やメディアの謀略のように語る本や雑誌も大量に出版されています。

 言うまでもなく、表現の自由、出版の自由は民主主義に不可欠です。しかし、こうした本が大量に出版され、書店の棚を埋め尽くすことがどんな結果を招くか、私たちは歴史の経験から想像できるのではないでしょうか。

 この風潮と、秘密保護法や集団的自衛権の行使容認といった安倍政権の暴走は決して無関係ではないと思います。「日本が狙われている」といった被害感情や過剰な防衛意識は、民主主義のルールを無視した政治を正当化するのに便利です。本来なら人権を侵害するヘイトスピーチを予防し、相互理解を呼びかけるべき政府が、それを利用しているのです。しかし、為政者が民族的憎悪を煽れば、やがてはそれを制御できなくなることも歴史の教訓です。

 私たちは、どこかでこの流れを止めなくてはなりません。それは私たちの子どもや孫の世代のためであると同時に、無謀な政治の犠牲となった祖父母たちへの責任でもあります。

 私たちは出版業界の中で声をあげました。さまざまな分野からの声が結びついて大きな力になることを願います。ふるさと信州で声をあげるみなさんを誇りに思い、連帯のメッセージとさせていただきます。

岩下結(「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」事務局、佐久市出身)