安倍政権の改憲の野望と一体の県都・長野市での右からの策動

※「信州の教育と自治研究所」に寄稿したものです。


長野市議会は、3月24日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願を、自民党系の新友会や公明党などの賛成多数で採択しました。憲法違反という声もある施策・政策を、すでに進めようとしている当の政府に要請するという、危険な動きです。

 提出したのは「アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム」で、霊感商法などの反社会的行為が問題になっている統一協会と関係の深い団体です。


産経新聞が「『左派的傾向』が強かった県内の政治思想を転換させる可能性を秘めている」

産経新聞は3月24日、「閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願の採択は初めてで、こうした動きは今後、県内の各市町村議会に広がる可能性がある」「長野市議会で集団的自衛権の行使を容認する閣議決定とそれに基づく法制化を求める請願が採択されたことは、安全保障問題について『左派的傾向』が強かった県内の政治思想を転換させる可能性を秘めている」と書きました。請願者の「アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム」の堀内雅俊副会長は「長野市議会での採択は大きな意義を持っており、他の市町村議会にも同様の請願を提出していきたい」と同じ記事のなかでコメントしています。

 

「平和の党」を投げ捨て、旗ふりをおこなう公明党

 長野市議会の総務委員会でも本会議でも、公明党がこの危険な請願の採択の先頭に立ち、議論をリードしました。「平和の党」を投げ捨てた、と言わざるをえません。

 公明党の主張は「与党協議で確認された新三要件は、自衛隊の派遣が無制限にならないための歯止めとなる」「新三要件は憲法9条内に入っている、解釈改憲には当たらない」というものです。

 武力行使の新三要件のなかに、「わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」とあります。これではアメリカから参戦要請があったときに、拒否する根拠にはならないし、歯止めにはなっていないのです。


長野市に連続的にしかけられている右からの策動

昨年6月の長野市議会には、日本会議長野北信支部より「長野市議会の議場に国旗及び市旗の掲揚を求める請願」が提出、賛成多数で採択されました。また、松代大本営案内板の「強制的に」の削除をもとめるキャンペーンを産経新聞やネット右翼が貼ったことも記憶に新しいところです。第二次安倍内閣の発足以降、長野市には連続的に右からの策動がしかけられていることも、よく見る必要があると思います。

昨年12月6日、実行委員会をつくり、戦争やだね長野大集会を開催しました。「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」事務局の岩下結さん(佐久市出身)は、「ヘイトスピーチの風潮と秘密保護法や集団的自衛権の行使容認といった安倍政権の暴走は決して無関係ではないと思います。『日本が狙われている』といった被害感情や過剰な防衛意識は、民主主義のルールを無視した政治を正当化するのに便利です」とメッセージを寄せていただきました。私たちも秘密保護法廃止の運動からはじまり、集団的自衛権反対の運動、歴史問題の運動と活動を広げてきたなかで、同じことを感じています。

安倍政権の改憲の野望と一体の県都・長野市での策動です。


今回の問題を通じて、新たな運動の広がりが

 今回の長野市議会の問題に「黙っていられない」と新たな運動が広がっています。採択の傍聴には30人の市民がかけつけました。

私たちは3月19日に、「集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対し、進行中の立法作業に目を光らせてください」と全市議に手紙を届ける活動に取り組みました。無所属の西村裕子市議は、私たちの手紙を、つながりのある人たちに広げてくれました。「手紙」を読んだ人から「いままで共同してこなくてすみませんでした。もう黙っていることは許されません」と連絡がありました。運動をたちあげ、5月に曽我逸郎・中川村長の講演会も準備しています。共産党もこの問題の宣伝を強め、「大問題だ。もっと知らせなきゃ」など大きな反響があるそうです。

阿智村前村長の岡庭一雄さんは昨年4月19日に阿智村で行った講演のなかでこう話されました。「国の言う通りに追随していたら、自治体は、戦争荷担の、侵略の先兵になってしまう。それが満蒙開拓団に多くの人々を送り込んだ長野の村々の教訓だ。自治体は、住民のためにどうしたら良いのかを一生懸命に考えなくてはいけない」。

 いまこそ、地方から「戦争する国絶対反対!」「憲法まもれ」の声を上げていくことが大切です。

 私たちも4月26日に元自衛官の泥憲和さんの講演会(10時~県高校会館)、5月3日の憲法記念日には、戦争やだね長野集会(14時~南千歳公園)を開催します。

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コメント: 2
  • #1

    ネトウヨ (木曜日, 16 4月 2015 11:49)


    私は、一刻も早く憲法を改正せねばならないと思っております
    『日本が狙われている』といった被害感情や過剰な防衛意識 とありますが

    尖閣諸島をめぐる現状をご存知ないのでしょうか?
    侵略に屈しても良いと思っていらっしゃるのでしょうか?
    北朝鮮国家の『拉致』によって誘拐されている日本人の方々は見殺しにしてかまわないという事なのでしょうか?

    私ども日本人は 
    平和のための国民軍をもち
    戦争反対を堂々と掲げなくてはならないと思います

    私は『核兵器』の保持は断固反対ですが
    国内で核兵器を保有する事の議論もできぬ状況で、なぜ国際社会に核廃絶を訴えられるのでしょうか?
    核兵器を保有する権利があるのは 唯一の被爆国である日本だけだと私は思います。

    私のような人間はあなた方から見たら右翼で
    あなた方のような人間は私から見たら左翼です

    右も左もなく ただ雰囲気で流されるのではなく
    しっかりと今起きている現実を見つめ
    次の世代へ平和な日本をつないでいく事が私どもの勤めだと思います

  • #2

    やだネット (火曜日, 21 4月 2015 22:07)

    個別的自衛権は現憲法下でも認められているもので、集団的自衛権とは違います