憲法9条の平和力(元自衛官・泥憲和さんの長野市内での講演から)

憲法は安倍さんの言うように無力なのか、世界の平和になんの貢献もしていないのか。実は憲法の力で平和をもたらした実例はたくさんあります。


フィリピン南部のミンダナオ島で、1969年から「バンサモロ解放戦線」(モロ族のイスラム解放戦線)と政府との武力紛争が続いていました。開発が進まず、貧しい地域です。ゲリラと政府軍との間で停戦にこぎつけ、2004年にアジア各国が停戦監視団を送り込みました。2年後に日本も参加しました。とはいえ、紛争地に自衛隊は送れないため、国際協力機構(JICA)の職員を送ったのです。


職員たちは村々を回って意見を聞き、学校の再建からやろうと決めた。同時に、現地の人たちを集めて学校運営についてレクチャーを行い、平和になればこんないいことがあるという教育を行ったのです。子どもたちのことを考える席にキリスト教徒もイスラム教徒もありません。顔を合わせるたびに両者の対立が氷解していったそうです。これも丸腰のJICAだからできたのです。

さらに、JICAは日本から農業指導者を招いて現地の人たちに農作業を教え、農作物の収穫が飛躍的に増えたそうです。職業訓練校や水産試験場も作り、豊かになるように導いていったのです。


独立闘争の目的は地域を豊かにすること。ゲリラする必要もなくなり、2014年3月にバンサモロ解放戦線と政府との間で包括的和平合意文書が調印されました。


日本には9条があるから、兵隊を送れないから、どうすれば和平に結び付けられるか知恵をしぼって考え、地道に努力を重ねていったのです。

(4月26日、長野市での講演)