「道徳の教科化」に思うこと(なつみさん)

来年度から小学校で道徳が教科になります。今までも道徳の授業はありましたが、教科となるのは戦後初めてです。何が変わるのか。それは通知表での評価がつきます。

   

私は2年前、小中学校の学習指導要領の一部改訂によりこのことが決まりそうと知りました。考え方は人それぞれ『みんなちがっていい』はずなのに、子どもたちの考えが良いか悪いかを先生が評価しなくちゃいけないなんて、絶対に嫌だ、こんなことやめてほしいと思い文科省へ抗議のFAXを送ったりもしました。けれど結局改訂が決まり、実施がいよいよ来年度からに迫っています。

 

   先日、来年度から小学校で子どもたちが使う道徳の教科書を見に展示会へ行ってきました。今までの文科省作成の冊子もそうですが、教科書の中身は良い子像のおしつけばかり。これで文科省が目的にあげているいじめをなくすことにつながるとはとても思えません。より陰湿ないじめが増えるような気もします。また、「家族愛、家庭の充実」として父母、祖父母を敬うこと、我が国や郷土を愛する心をもつことを教えるとしていて、これは安倍首相が推し進めたい自民党改憲草案の中身にも通じています。

 

いま、学校教育が安倍首相や同じ理念を持つ人たち、経済界のえらい人たちの理想を実現するためのものにどんどん変えられてきていて、子どもたちの成長のための教育ではなくなってきています。来年には中学校で道徳が教科に、再来年以降には今年行われた小中学校の学習指導要領改訂の全面実施によって学習内容がさらに増え、子どもたちも先生もますます追い詰められていくでしょう。本当におそろしいです。

道徳の教科書は今回8社から出版されて、中には子どもの権利条約や世界人権宣言が載せられていたり、限られた決まりの中で良い教科書を作ろうとしたのでは?とみうけられるものもありました。道徳の教科化が決まっている以上、これからある教科書採択の作業においては、子どもにとってより良い教科書を採択していただくことを望みます。そしてやはり、子どものためでない道徳の授業は廃止することを望みます。

   

学校教育のことも改憲のことも、子どもたちの自由な未来のために、微力ですがこれからもできることを続けていきます。