なぜ暴力的な強制連行が発生したのか。
まず当時の日本政府のご都合主義である。それまで朝鮮人の移入を抑制してきたのは差別意識に基づくもので、内地に異民族が増加することを恐れたからだった。ところが戦争が長引いて、労働力が不足して場当たり的に政策を転換したものの、炭鉱などの危険な労働現場への配置が目的で、自由渡航を認めたわけではなかった。
一方、朝鮮農村の労働力はすでに枯渇していた。また、劣悪な条件の仕事であることも知られることとなり、応募する者も少なくなった。そこで、労務補導員(内地の企業職員)と現地の警察官や行政職員が結託して、「募集、官斡旋、徴用」と形式は変遷したが実態は暴力的で残虐な動因手段を強行する。それが「強制連行」である。インフラの未整備とか、行政機構の未発達、募集のための告知手段がない等の朝鮮半島内の諸条件も重なっての蛮行となった。
こういった植民地支配の実態について、日本人はどう理解してきたのか。また、朝鮮人はどう語り、どう記憶してきたのか。総じていえば、日本人は植民地の近代化や開発への肯定的評価をする傾向が強く、強制連行については、戦時中は日本人も苦労したのだからやむをえない、というような語り口になることが多い。
一方、朝鮮人の多くは、総督府による近代化こそが朝鮮人の生活を困窮させたと考える。また、半島からの移動を動員以前と以後に分けて考えるのではなく、「使い捨て労働力」とされている点では同根だと考えている。このように見解の隔たりは大きいのに、植民地期の近代化・開発についての批判は共有されず、現代の日本人の多くは、朝鮮人の生活や思いを理解できていない。
他者に対する敬意を知らないままに、異民族を内部に抱え込んでしまったマジョリティとしての近代日本人のアンビバレンスと不遜な振る舞い。その末裔としての私たちの役割は、「隔たり」を埋める努力を続けていくことだろう。
「松代大本営説明看板の復元と史実にもとづく検証をもとめます」署名⇒http://t.co/0XrrSEDFZo
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りり (木曜日, 11 9月 2014 10:25)
暴力的な強制連行が本当にあった事なのか、正しく検証する事が本当に大事な事であると考えます。
むしろ今まで何故正しく検証されてこなかったのかが大きな問題なのだと思います。
従軍慰安婦に関しても、本当にたくさんの人が『朝日新聞の慰安婦に関する報道』『河野談話』について虚偽の部分が多数あることを指摘していたにもかかわらず再検証しなかった。
多額の賃金を貰ってたけど性奴隷だった など僕には全く理解ができません
>朝鮮人の多くは、総督府による近代化こそが朝鮮人の生活を困窮させたと考える。
のであれば 国際的に政府が『韓国を近代化させてごめんなさい』と言うべきかもしれませんね。