長野市長・加藤久雄様◇松代大本営地下壕は太平洋戦争の遺跡として存在を多くの人に伝え、平和の大切さを後世に伝える史跡。だからこそ史実にもとづく検証を強く求めます

 いま、ヘイトスピーチが社会問題になったり、朝日新聞の「吉田証言」の誤報から「従軍慰安婦はなかった」というキャンペーンをはられるなど、日本のかつての軍国主義を美化・正当化する動きが強まっています。こうした動きに松代大本営の案内板「強制的削除」問題を与させてはなりません。二度と戦争を繰り返さないために、私たちは戦争の被害の歴史も加害の歴史も、ともに忘れてはいけない、知っていかなければならないと思います。

松代大本営地下壕の公開は、太平洋戦争の遺跡として存在を多くの人に伝え、平和の大切さを後世に伝えることが目的とされています。だからこそ、案内板やパンフレットは政治的・行政的な思惑にとらわれずに、工事の本質を伝えるものにする必要があります。新たに見直すということであれば、史実に基づく検証をもとめます。

加藤久雄・長野市長は「両論併記という形で、『(住民及び朝鮮人の動員が)強制的であったという意見もあるし、無かったという意見もある』、このような形を含めて考えている」と記者会見で述べましたが、長野市誌や松代町史を覆す証言や資料がなく、また強制的では「無かった」ことを裏づける証言や資料もないにもかかわらず、なぜ両論の片方に強制的では「無かった」ということを併記しようとするのかが疑問です。

長野市在住の児童文学者の和田登さんは、8月26日付長野市民新聞で「この工事の本質は、その工事主任であった吉田栄一大尉が憲兵の一員に告げた言葉『労務者は機械だ。あなたがたは人間だ。人間は口をきく。だから話せない』と、憲兵にさえ何の工事か明かさなかった言い方に表れている。人権を無視した労働だった」「朝鮮本土で日本軍の収奪にあい、やむなく日本に渡航し、ここで働かざるを得なくなった人々を自主渡航組とよぶが、いったんこの工事に組み込まれると『連行組』同様、生きるか死ぬかの強制労働だった…ここに到着した形が強制的か自主かにとらわれると本質を見失う」と述べています。

私たちの基本的立場は、署名の請願http://t.co/0XrrSEDFZoの内容にありますが、あらためて次のことをもとめます。

 

○削除した「強制的に」の文言の原状復帰をもとめると同時に、あらためて見直すということであれば、学者・研究者の長年の研究の成果である長野市誌など、専門家の歴史的科学的な調査や研究に基づく検証を求めます。

2014年9月22日

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