「たいした鐘ですなあ。鉄砲のたまにでもなりゃあ、百人は殺せますぜ、ははーー」ー五七子さんの写真が横を向いている理由

五七子さんとこの場所で写真をとることになったとき、「私はここでは横をむくから」と言いました。

なんでかなあ?と思って、帰ってから、和田登さんからいただいた「石の鐘の物語」(今年7月より発売、かもがわ出版)の原稿を読み返してみました。

 

この場所は、お寺の大切な鐘が戦争にもっていかれたとき、見送った場所ではないか?

見送るときに、写真屋がいつのまにか来ていて、下した鐘を前にみんなを並ばせたそうです。

写真屋は「鐘がお国の役に立つんですよ。笑って笑って」「たいした鐘ですなあ。鉄砲の弾になりゃあ、百人は殺せますぜ。ははー」と何度も同じようなことを言いました。

 

五七子さんはその言葉にむっとふくれて、横をむいた瞬間にシャッターはきられていました。