石の鐘が静かに語っている(児童文学作家・和田登さん)

北信濃に称名寺という浄土真宗の寺があります。

その寺の鐘楼には、いまもって、青銅の鐘はなく、大きな石が下がっているだけです。

 

それはそこのご住職の、かつての戦争への反省と怒りの静かな想いの結晶です。

それは、とりもなおさず、石の鐘自身が、新たな戦争は許してはならないと、無言のうちに、そのメッセージを語っていると言えます。

そのメッセージに、私たちは真摯に耳を傾けなければなりません。

 

私には聴こえます。

安倍総理が、憲法を無視したうえ、国会の審議・同意をあと回しにして訪米し、これまでの日米安保を大きく飛躍させ、軍事同盟化へと進んでいることを怒らないのかと。

民主主義のルールを破っても、あなたがたは黙って、許すのかと。

そのつけは、子どもや孫たちに負わせることになるぞよと。

歴史をよくみなさい。

自分には関係ないよと、目先のことにとらわれていると、あぶないよ。長い望遠鏡をもって、過去や世の行く末を見つめる目をもっていないと。

 

このごろ、メデイアも真実を報じないようになっているから、それを見抜く眼鏡も、あなたがたは発明したほうがいい。気をつけないと、次のようになる。インドの詩聖、タゴールの詩。

出合いのランプは長く燃えるが、別れには一瞬のうちに消える。

 

戦争のことをうたっているのではないが、後半に注目しよう。いま、あなたがたが送っている日常の幸せも、戦争になれば、一瞬のうちに消えるのだよ。

 

 「石の鐘」の語りは、まだまだ続きます。

(2015年4月29日記)

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コメント: 1
  • #1

    豊芦勝子 (火曜日, 20 9月 2016 08:36)

    無言で語り伝える「石の鐘」
    称名寺に行ってみたい!