自民党憲法改正草案を考える(2)

動物園でのライオン(=権力者)、檻(=憲法)の前で写真を撮る家族(=国民)

憲法が生活とどう結びついているのか、

「動物園でのライオンと、その檻の前で写真を撮る家族」を例にしてみましょう。ライオン=権力者 檻=憲法 家族=国民となります。私たちは、権力者が憲法で縛られているから、権力をふりかざされることなく、生活できるわけです。 

 今の「日本国憲法」という檻は、かつて権力者が暴走し、アジア太平洋戦争でおびただしい犠牲を生んでしまった反省から、つくられたものでした。

 

今、権力者が「檻をゆるくしてくれ。できれば自分で出ていける扉もつけてくれ」と国民に要求している、これが憲法改正(改憲)の動きです。 

 

 


今の安倍政権、なんだか暴走していると思いませんか?

 

憲法というのは国民側から「もう少しきつくしないといけない」と言って変わることはあっても、権力者側から「ちょっときついからゆるめて欲しい」というものではありません。

 

もし檻をゆるめてしまったら?出入り自由な扉をつくってしまったら?

いつ飛びかかられるかビクビクすることになりますね。ライオンが出てこなくても、いつもライオンを気にして生活をしなければいけなくなります。

 

特定秘密保護法や安保法制の強行採決など、今の安倍政権はなんだか暴走していないか?と思う方も多いと思います。

 

それは、安倍政権が檻を壊し、さらに憲法を変えて、国民を檻の中に入れてしてしまおうとしているからなのです。

ママの会信州のリーフレット「知ってみよう憲法のこと」より

檻を緩ませるための「お試し改憲」。危険な緊急事態条項

 

安倍政権は、国民の理解が得やすいとみる項目からの「お試し改憲」を模索しています。どういうところから手をつけようとしているか、「環境権」と「緊急事態条項」を見てみましょう。

 

【環境権】

そもそも憲法のなかで基盤になっているものは13条と25条です。

お母さんが子どもに「健康でいてほしい」といいます。そのために、「せめて朝ご飯は食べなさい」とか「早寝早起きはしなさい」とかいいます。健康でいてほしいという部分は13条と25条にあたります。朝ご飯食べなさいなどは、その他の条文に入っています。

環境権は「朝ご飯は食べなさい」「早寝早起きはしなさい」であり、入っても入ってなくても、大きく変わるものではありません。

檻で言えば、軽いプラスチックの棒を1本足すにすぎないことですし、もしきちんとした檻をつくることにこだわるのであれば、大きな環境破壊を引き起こす原発の再稼働に、安倍政権が前のめりになっていることは矛盾した行為です。

ですので、檻を増やしたように見せかけながら、改憲への国民の抵抗感、アレルギーを取り除くことが「環境権」のねらいといえます。

 

【緊急事態条項】

「緊急事態条項」は、大変に危険です。これが発令されると一定の人権停止がおこなわれます。

ドイツのヒトラーは、その当時最先端であったワイマール憲法の中にあった「大統領緊急令」を使いました。これが緊急事態条項と似ているものである。

今の憲法では何があってもすべての上に「人権」がありますが、緊急事態条項では人権よりも「指示」が上にくるものになります。 

 

緊急事態条項についての解説(和田清二弁護士)

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自民党の憲法改正草案  緊急事態条項について.pdf
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ママの会信州のリーフレット「知ってみよう憲法のこと」より