公立公的病院再編・統合問題について(長野県社会保障推進協議会事務局・原さん)

昨年、厚生労働省が、長野県下の15の公立・公的病院を名指しし、病院のベットを削減し統合をするよう求める問題でお訴えします。

 

私たちはこの問題で「地域医療を守る連絡会」を結成し、名指しされた病院との懇談を行ってきました。懇談した病院では、再編・統合の対象となったことに、院長をはじめ管理者から「寝耳に水だ、心外で納得できない、憤っている」という不満が表明されています。

東御市民病院からは、「まるでこの地域に病院がなくてもいいような印象を与えられた」と強い不満も出されました。

 

今回の名指し厚労省が基準にしたのは「脳卒中や救急などの診療実績が多いか」「20分以内の距離に競合する病院があるか」の2点です。しかし、厚労省の分析したデータは古く、実際の実績と合わないうえに、長野県の特徴である雪道や山道などによる地域の特徴は無視されています。

飯山赤十字病院では、「競合する病院」として中野市の北信総合病院が挙げられていますが、飯山日赤の病院長は「隣の北信総合病院までは夏でも車で20分ではいけない。ましてや冬に積雪があれば救急車でも1時間はかかる」と、あまりにも地域の実情を踏まえていない基準に「納得できない」と話しています。

 

私たちが懇談してきた北信や中信、上小、佐久、下伊那などの病院ではどこでも、近隣の病院とは競合ではなく日常的に連携し合いながら、地域で医療が完結できるよう努力が行われています。また、高齢化に対応したベットの確保や、介護や在宅医療にも力を入れているのが共通した特徴です。国は、まさにこの点こそ評価するべきではないでしょうか。新型肺炎への対策を考えても、公立・公的病院の果たす役割は非常に大きく、指定感染症のベットを持つ病院の8割を公的病院が持っています。病院を守ることは、新型肺炎から住民の命を守るうえでも重要なことです。

こうした病院に「再編統合」を押しつけ、ベットを減らし、病院が減らされれば、地域の医療も住民のいのちも守れなくなるのは明らかではないでしょうか。いのちを脅かすような公立・公的病院の再編統合は白紙撤回するべきです。

今、病院を守るために、信濃町や小海町の議会などで「病院の存続と充実を求める」国や県への意見書が全会一致で可決され、飯山では自治体を挙げた署名運動も進められています。

 

私たちは、5月10日にこの問題を県民に可視化するための「県民シンポジウム」をJAアクティーホールで開催します。多くのみなさんの参加をお願いします。

 

住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、住民の皆さんとともに公立・公的病院を守る運動を進めていきましょう。公立・公的病院を守るための運動に協力をよろしくお願いします。