わが子にも教室の子どもたちにも、平和で安心して暮らせる社会を(長野県教組・木下先生)

2018年2月19日 長野市トイーゴ前
2018年2月19日 長野市トイーゴ前

私は、社会保障が切り下げられ厳しい生活となっても「自己責任」と見られがちな社会の状況を見るにつけ、今こそ、教職員は「点数で測れないもっと大切なこと」を、学校生活のなかで子どもたちといっしょに大切にしていかなければならないのではないかと考えています。

 

まず一人ひとりには異なる様々な考えがあって、それを大切に聞き合い話し合っていくことで、相手の気持ちがわかったり歩み寄れたりして、よりよい結論をつくることができると実感できるような経験が必要ではないでしょうか。そして、多数決が必ずしもよい問題解決の方法とは限らないことも知ってほしいと思います。

なにより、自分たちに不利益なことや不合理なことが押しつけられようとしたなら、けっして黙っていないでなかまといっしょに声をあげて、少しでも改善に向かうように行動しようと考えられる、そんな子どもたちを社会に送り出したいと考えるのです。

 

戦前の日本では、治安維持法により思想・言論・表現の自由が奪われ、激しい弾圧がおこなわれました。社会は次第に異なる考えを許さない状況になり、戦争へと国をあげて突き進むことになりました。

長野県内でも、貧しさに苦しむ子どもたちに生きる力をつけようと教育に真摯に向きあっていた教員たちが、治安維持法違反の疑いで600人あまりも摘発された「二・四事件」が起こりました。この事件を転換点として、信濃教育会が汚名返上とばかりに、14、15歳の子どもたちを満蒙開拓青少年義勇軍として満州に送り出して多くの命を失わせました。

 

今年は、二・四事件から85年にあたります。2月24日(土)13時より若里市民文化ホールにおきまして記念集会がひらかれ、信毎論説主幹の丸山貢一さんの記念講演等がおこなわれます。ぜひ、多くのみなさんにおいでいただき、二度と過ちを繰り返さないよう学び合いたいと思います。

 

多数決ではなく話し合うことが大切、話し合って双方の納得のうえで、よりよい解決法を見いだすことが民主的であるということ、不合理なことには声をあげるべきだということは、子どもたちと一緒に学ぶべきであると同時に、まさに今の政治に欠けていることであり、私たち大人たちこそ社会のなかでしっかりと考えて実行していかなればならないと強く感じます。

 

二・四事件のころも、心ある教師はこうした社会的合意や民主主義を大切に考えていたんだろうと思います。

私は、わが子にも、教室の子どもたちにも、平和で安心して暮らせる社会を手渡したいのです。

だから、平和のために、一人の力は無力でないと信じて、仲間とともに今できること、やるべきことを地道にやりたいと思います。

改憲NOの3000万人署名の協力はもちろん、今日、ここでお話させていただいたこともその一つと考えています。

 

未来を生きる子どもたちのために、憲法9条は絶対に守りぬく、民主主義をあきらめない、そのことをお伝えして終わらせていただきます。