【おやきの里】自衛官募集問題 適齢者名簿の紙媒体での提供とりやめを求める陳情を小川村議会が可決

19日、小川村議会が、自衛官募集問題で、紙媒体での適齢者名簿の提供のとりやめを求める陳情を全会一致で可決しました。陳情を提出したのは、弁護士やママの会信州、やだネット有志でつくる自衛官募集問題を考える長野県民の会。

 

小川村は、昭和14年3月に北小川、南小川両村長の松本和禧、松本三男の両氏が現地の視察を行い、帰ってきて、満州国移民の分村計画を中止に。小川村誌には「この確固とした計画を中止したことは今にして考えまことに時宜を得た決断というべきであり改めて感謝の意を表したい」と記されています。

自分の目で見て、自分の頭で考え、良心に従う歴史が、今なお息づいています。

 

長野市議会への請願、千曲市議会への陳情は、それぞれ否決となりましたが、「条例に基づく個人情報の利用停止請求が行われた場合は、請求者の個人情報の提供をとりやめ」ることが確認されました。

 

また、長野市議会総務委員会で、2018年度、自衛隊長野地方協力本部が10~20代に送ったはがきで、紙媒体で提供した市町村もあるのに、一律「閲覧を通じて入手」と誤った記載をしていたことが発覚しました。長野市は紙媒体での提供です。自衛隊長野地方協力本部は「不正確だった」と認め、今後は訂正する方向を検討となりました。個人情報への感覚が杜撰です。

 

今回の問題の発端は、安倍首相の今年2月の党大会での発言によります。 

「残念ながら、新規(自衛)隊員募集に対して、都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります。地方自治体から要請されれば自衛隊の諸君はただちに駆けつけ、命をかけて災害に立ち向かうにもかかわらずであります。皆さん、この状況を変えようではありませんか。憲法にしっかりと自衛隊と明記して、違憲論争に終止符を打とうではありませんか」

 

この言葉の中にはいくつかの問題を含んでいます。

改憲と自衛隊員募集の問題はまったく別です。

改憲は国の問題であり自衛隊員募集は地方自治体の問題です。

もし改憲で自衛隊員募集に強制性をもたせるなら、それはもはや徴兵制です。

 

自衛隊員の採用は2014年から4年連続で計画を割っていますが、自衛隊にとって大きな問題は安保法制の成立で、海外の戦場に送られることへの恐れが反映しています。

安保法制で隊員希望者が減ったのは国の責任です。ですからこれは地方自治体に責任を転嫁する発言です。

しかも、6割以上が協力を拒否しているとウソをついています。

実際には、完全に拒否しているのは5か所の自治体です。住民基本台帳の閲覧や書き写しが約53%、紙または電子媒体での提供が約36%、現在約9割が募集に協力しています。

 

長野県内では77市町村の内、全国平均36%をはるかに上回る57%、44もの自治体が紙媒体での提供をしています。

国の言うまま、満蒙開拓へ9万人もの県民を送った歴史をかえりみない残念な結果でした。

 

政府か住民か、地方自治体はいったいどちらを見ているのでしょうか。

私たちの大切な個人情報です。

住民基本台帳の閲覧はどのような相手にも公平・公正であってほしいと願います。